[261]“低予算映画の王者”コーマンの語る、インディーズ映画製作者へのアドバイス


60年以上のキャリアで手掛けた作品は400以上、“低予算映画の王者”“大衆映画の法王”として知られる映画プロデューサー兼映画監督、ロジャー・コーマン。映画制作予算・資源に対して非常にシビアで、「身の丈を越えた映画は作らない」ことをモットーに活動し続けてきた彼。手掛ける低予算カルト映画や搾取的なストーリーラインだけでなく、当時新進気鋭だったフランシス•フォード•コッポラ、マーティン•スコセッシらの才能を発掘したことでも知られる。先月末Flavorwireに掲載された現在89歳(!)となる彼へのインタビューから、当時の映画製作、そして現在のインディーズ映画製作者へのアドバイスを紹介したい。

インタビュアー(以下I):
コーマン氏の手掛けた40以上の作品でビジネス的な成功に修めたアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(以下AIP)。
その短期間での映画の量産から、とにかく“質より量”に重きを置いていたように思います。脚本よりも先にタイトルやポスターが決まっていたという噂まで聞きますが、真相は?素早い映画製作の方が、よりクリエイティブで自由な作風を生む、とお考えですか?

コーマン(以下C):
50年代のAIPは、低予算で西部もの、カーレースもの、SF、ホラー、完全ティーン向けといった幅広いジャンルを大量に制作・配給していた。60年代には“ビーチパーティー・ジャンル”といわれる、ロシア・西ヨーロッパのSF映画のリメイク版を手掛けた。
古い友人同士で始めたAIPだが、きちんと商業的に動いていたよ。競争しようというよりは、ちょっとした思いつきだけで映画を作ることを心掛けていた。60年代はすべてにおいて浮き沈みがあったが、貴重でクリエイティブで、非常に楽しい時代だった。

作品よりポスターが先に決まっていたことはなかったとは思うが…。たいてい、僕たちはタイトルから入って映画を作っていった。あとは1960年に始まるエドガー・アラン・ポーの『アッシャー家』シリーズのように、対象から始めることも多くあった。
AIPが商業的に成功した理由のひとつは、責任を完全明確に分けていたことだと思う。最終的な制作責任が友人のジムにあった一方で、別の友人サムはビジネス・交渉事における弁護士としての全責任者。ビジネス専門の奴がクリエイティブな決定に口出しする…という光景を他の会社ではよく見かけるけど、AIPでは彼らは全く互いに干渉しなかった。サムはビジネス、ジムはクリエイティブ、というように極めてクリアだった。

I:映画制作にあたってそぎ落としてきたルールとは?

C:
たとえば60年代後半までは、セックスの話を撮る場合でも、そういったシーンは全く劇中に出てこなかったから、僕たちは映画にヌードを取り入れた。60年代後半から80年代にかかるまで、ヌードシーンの挿入は続けていたねR指定以外の何ものでもなかったよ。当時ヌードは新鮮な上に非常に売れやすかったんだ。しかし、80年代になるとあまりにもヌードが使われ過ぎるもので、今度は取りやめた。過去10年間で、ヌードシーンのある映画は一本も作っていなんじゃないかな。いまやヌードはインターネットでもどこにでも溢れ返っていて、売れる要素がないよ。今でも、ヌード描写が必ずしも必要だとは思っていない。

I:
インディペンデント映画制作は刺激的だが、本当に奇妙。中には大規模な成功を上げるものもありますが、アベル•フェラーラやフレデリック•ワイズマンのような優れた作家が新作のためにクラウドファンディングで支援を募っても、資金達成出来ないのが現状。クリエイティブな映画制作者たちを途中で挫折させてしまうのは、おそろしく悲劇的なような気がします。どうお考えですか?私たちは彼らのために何ができるのでしょうか?

C:
今日低予算映画を制作するのは、これまで以上に簡単になった。私が撮影を始めた時は大きく重いカメラを持っていたし、どの機器も重く、動き回るのも難しく、スタジオワークや大規模なスタッフのために建てられた。今じゃカメラすら片手で持ち歩けるし、照明、音響、グリップのような機器もきわめて簡単。ポータブルで低予算な映画制作ができる。
そう、だからこそ、今まで以上に低予算映画の配給を得ることが難しくなった。私自身、身につまされている問題だよ。当時、私が制作した映画は、どんな低予算なものであれ、完全に劇場公開されていた。今日では、ごく僅かなインディペンデント、低予算映画しか劇場公開されないのが現状。

I:配給を探す映画制作者にアドバイスはありますか?

C:
あまりにも当然で口にするのもなんだが、「他人よりも優れた映画を作ること」、そして「商業的な題材で撮ること」。成功作品の殆どは、商業的題材。インディーズ映画は多いが、たいていそこで失敗してしまう。

I:現在活動しているプロダクション会社や映画制作者の中で、コーマン氏と同じような性質で動いていると感じる者はいますか?

C:
たくさんいるが、最初に頭に浮かぶのはジェイソン•ブラムかな。彼は低予算映画で確実な成功を残していて、昨年は『セッション(Whiplash)』もプロデュースした。今度はメジャー映画に挑戦しようとしているんじゃないかな、分からないけど。ジェイソンは、過去自分がやっていたことに最も似たことをしている人物。僕が言ったことを彼は本当にやるし、確実に他の奴らより優れた映画も作っている。

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http://flavorwire.com/530406/flavorwire-interview-legendary-filmmaker-and-king-of-the-bs-roger-corman-on-feminism-poe-and-the-state-of-independent-filmmaking/view-all

内山ありさ World News部門担当。1991年生まれ、広島出身、早稲田大学卒。学生時代は東京国際映画祭の学生応援団として六本木を奔走。この春より映画配給会社勤務。特技は80年代洋楽イントロクイズ。


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