マイケル・ダグラスが演技を始めてから50年、多くのことがハリウッドならず映画業界で変化した。70歳の今も現役で若手俳優と並走し活躍し続ける彼。そんなダグラスが唯一好ましくないと考える若手俳優の特徴は「ソーシャルメディアに頼り切ったイメージ化」だそう。

ダグラスは現在のの米国若手俳優について
「ソーシャルメディアに執着しすぎていて、近い将来、結果的にアメリカの才能ある俳優たちは自分のイメージに囚われてしまうにちがいない。また、男女問わず米国の若手俳優全般にいえるのは、役柄の多くをイギリスやオーストラリアの俳優に持っていかれているということだ」と述べた。
「確実に二分化されている。米国の俳優たちは、きちんとしたトレーニングよりもソーシャルメディアでのイメージづくりに躍起になっている一方で、イギリスの俳優たちは真剣に訓練している。米国俳優はSNSのイメージに囚われてしまい、結果的に役の幅が狭くなるだろう」、
「米国では、敏感な若手俳優が比較的に無性・またはユニセックスな役柄を演じることが多く、チャニング・テイタムやクリス・プラッツのような男らしい俳優は少ない。逆に、男らしい役はオーストラリア俳優がほとんど。これがいまの現象」。

映画『ワンダー・ボーイズ』の俳優も、イギリス人女優キャリー・マリガンが(本来伝統的なアメリカの女優に渡ったであろう)NYの学生役を引き受ける際、いかに努力をしていたかについて述べていた。
「米国の若手俳優は危機にある」と彼は言う。
「米国俳優は誰もが、実際に役を演じている以上に自身のイメージを意識している」。

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俳優ダスティン・ホフマンが以前「“ほんの僅かな予算で良いものを作ろう”という今の映画業界は過去最悪。最も順調なのはテレビ業界だろう」(*2)と述べたことについては、ダグラスはホフマンに理解を示しながらも、従来の映画館の役割を果たしつつあるNetflixやHBOの可能性も信じている。
「ホフマンの言っていることは理解するが、映画の調達システムとして期待すべき点もあることを見落としているのでは。ケーブルの中に良い脚本、良い作品も多くある。『クレイマー・クレイマー』のような優れた主流映画だって、もう作られないが、流通するのは現在のデリバリーシステムあってこそ」 。
「それでも優れた映画脚本家の殆どが、ケーブルエリアに流れ込んでしまった。彼らにしてみたら、そこでだって製作できるからね。そうなった今、映画のために考えるべき映画製作の問題点は、流通コスト。広告のためでなく、映画のために資金調達できるように」

内山ありさ World News部門担当。1991年生まれ、広島出身、早稲田大学卒。学生時代は東京国際映画祭の学生応援団として六本木を奔走。この春より映画配給会社勤務。特技は80年代洋楽イントロクイズ。


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