昨年『グランド・ブダペスト・ホテル』がヒットし、雑誌『ユリイカ』で特集も組まれるほど、いま注目されているウェス・アンダーソン監督が、カフェのデザインをしたようです。その名もBAR LUCE。イタリアのミラノに先日オープンしました。Bar-Luce-page

まるで、彼の映画のセットかのようなデザインですが、その映画の特徴である左右対称な構図との違いを監督は以下のように語ります。「ここには映画と違い、理想的なアングルはありません。現実の場所なので、食べたり、飲んだり、話したり、本を読んだり、というようにたくさんの過ごし方があるべきですね。ここがとってもかわいい映画のセットなら、映画を書くにも良い場所かもしれません。自分で普段の生活の午後に過ごしたい場所になれば、と思いながらここを作りました。」

『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)はその特徴的な画作りで「歴史」を語って見せるという、愉快で感動的な作品でした。彼のそうした過去への眼差しはここでも引き継がれています。以下はホームページの紹介より引用します。「ある程度もともとの建築の構造やデザインは保存されたまま、アーチ型の天井などは、ミラノの象徴的な建物であるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアの丸屋根を、ミニチュア版として作り直されています。他にも重要なのは、天井の上から下の途中まで内側の壁紙がガッレリアをコピーして作られていたりすることです。」

「内装のデザインは、椅子、家具、床、壁紙、色使いまで1950年代から1960年代ごろのイタリアの流行や美学を反映しています。このことは、監督が最近撮った短編『Castello Cavalcanti』(2013)を思い起こします。他にも、ミラノが舞台の重要なネオリアリズモの作品、『ミラノの奇蹟』(ヴィットーリオ・デ・シーカ、1951)や『若者のすべて』(ルキノ・ヴィスコンティ、1960)などの重要な映画的モチーフを思い浮かべることも出来ます。」

確かに、お洒落なバーでもありますが彼の創造の一端に触れることも出来るという意味でも一度ミラノまで訪れてみたいですね。Instagramにて’BAR LUCE’で検索をするとたくさん写真が出てくるのでそちらもチェックしてみてください。

 

http://www.fondazioneprada.org/barluce-en/?lang=en

 

三浦翔
アーティクル部門担当、横浜国立大学人間文化課程3年、映画雑誌NOBODY編集部員、舞踏公演『グランヴァカンス』大橋可也&ダンサーズ(2013)出演、映画やインスタレーションアートなど思考するための芸術としてジャンルを定めずに制作活動を行う。


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