[217]アーカイブを用いた映画製作の戦略


 

どのように、古いアーカイブを甦らせることがよいのだろうか。海外ではドキュメンタリー映画製作において角度を変えながらアーカイブを有効的に利用している。 近年、ノンフィクション映画が盛り上がってきている。これはあらゆる面において革新的かつ実験的に製作が行われていることにあるのではないだろうか。ナレーションやインタビューのような演出ともに一つの演出として不可欠となるアーカイブ活用の無数の方法を紹介したい。公正使用とはどのようなものであろうか。

1993年よりスタートした北米地域最大のドキュメンタリー映画祭であるホット・ドックス 国際ドキュメンタリー映画祭の今年の開催の際に3名のディレクターはアーカイブを映画に取り入れる方法についてベテラン映画監督マンフレッド•ベッカー*1と語っている。 ノンフィクション映画制作におけるアーカイブ使用のための実用的な定義としては、「ドキュメンタリーフィルム中のアーカイブの使用は、歴史的な積み重ねとなる記録文書・画像および音における再処分である。」と彼は言った。「多くの創造の可能性を持つが、危険を孕んでおり、責任を持って行う必要があるということである。 」ここでは法的順守が先にくるべきだということだ。

 

◎ユニークな道を考えるべきであるIndie

 

ダグラスによるアメリカの最も悪名高く影響力のあるコメディ誌について描かれた『DRUNK STONED BRILLIANT DEAD』は大変注目を集めた作品だ。ダグラスはこう語った。「たとえば、誰かが『我々は、70年代前半にニューヨークに来た。』というときにまず70代初期の彼らのシーンをどうするか考える。そして、多くのドキュメンタリーは、アーカイブを捜し、70年代のニューヨークのランダムな映像資料を得るだろう。」しかし、『DRUNK STONED BRILLIANT DEAD』はより創造的な手法をとっている。 「映画の性質もあるが、この作品ではこのコメディ誌上のものに依存している。それらのアーカイブが存在しなかったと偽ると決め、インタビューでさえもなく、あらゆるイメージは雑誌から取り出してきたのである。」と、彼は述べた。物語を語るために、[昔の雑誌]というものを利用したのである。

 

◎現在時制におけるアーカイブの使用Mavis

 

ジェシカ•エドワーズは、彼女の作品であるソウルシンガーのマーヴィス・ステイプルズの陽気な生活を追ったドキュメンタリー『Mavis!(マーヴィス!)』について話す。「マーヴィスに引きつけられた理由は、その時の彼女のヴァイタリティが物凄かったから。彼女の歴史を描きたかったのだけれど“歴史的”には描きたくなかった。1つの挑戦であったのは、マーヴィスと1960年代の市民権運動のつながりを淀みなく描き切ることだった。マーヴィスはマーティン・ルーサー・キング牧師の影響を受けていたから、彼女がどのように刑務所へ送られることになったかを描いていた。加えて、セルマからモンゴメリーへの行進についてのアーカイブも使用することとなったが、それが現代の運動からかけ離れた“歴史的な”印象を助長してしまった。」とエドワーズは語った。「60年代に終えることのなかったマーヴィスにとって運動はまだ続いているのだ。」

そこで彼女が決めたのは現在の場所を映画の中で使用することだった。 モントゴメリー(マーヴィスと彼女の家族がマーティン・ルーサー・キング牧師に初めて会ったアラバマ)デクスター通りバプティスト教会で、彼らは撮影した。エドワーズはこう説明する。「彼女が物語を語っていたように、我々は教会の現代の場面を撮影して、それを使った。これは彼女を、彼女の想いを現在に続くものとして保つ意味がある。ただし、最初から最後まで挑戦であり続けたということは間違いがないであろう。我々はスケジュールに注意しなければならなかったし、彼女の歴史の範囲内できちんと人々を置かなければならなかった。しかし、このアーカイブは文脈をタイムマシン化することとなり、きっかけとなるものであるだろう。」  

 

◎お金と時間を余分に用意して。そして、良い弁護士をつかまえること。

 

アーカイブドキュメンタリーについてミシェルは『Sugar Coated』では砂糖の今日のビジネスについてアーカイブを用いて鋭く描いている中でも多くの苦労があったようだ。 「経費の上昇は馬鹿にならないし、その予測はできないものだ。それから法律的懸念である。我々は1月に映画を作り終えるやいなや、弁護士と2ヵ月を過ごすこととなった。多くのことに気をつけなければならなくて、忙しい日々を送った。我々が命題を守っているかのようだった。すべてに注釈をつけなければならなかったし、すべてのアーカイブのシーンは詳細に吟味されなければいけなかった。」

「素晴らしい支持者である弁護士をつかまえることが大切で、自身の主唱者の役をその弁護士がしてくれることがポイントとなる。もちろんこれは、許可なしでそれを使うという意味ではなく、それはそれの代金を払う必要がない方法でそれを使うことが大切だ。」

 

◎YouTubeと他の直接アクセス・オンライン・ソースの利用

 

研究ツールとしてのYouTubeの利用は多かったとジェシカ・エドワーズは述べた。しかしながら、現在と15年前とを対比したときアーカイブについての少し汚い手法となることがあり、そこに注意をして避けながら使用したという。膨大な人のアクセスと開示の中で、誰もこれまでに見えなかったということを見つけることができることに当時は憑りつかれていたのだという。 談義の中では、「すべてがオンラインで利用できるので、今日の視覚の研究者は少し旅行代理店のようだ。」との意見もあり、他にはゲティーイメージズや、CBS図書館を使用するとの意見があった。 しかし、公式研究者はそのオンラインソースの使用に対して異を唱えるだろう。映画制作者にとってそういった許可をわざわざ公式にとることは大変な労力であるが、それを公式研究者が望むことは間違いないだろう。映画製作者として、それが常にそこにあるラッシュのようだ。―プロセスとして早くから研究者を雇用するとしてもオンラインソースは有効活用して、研究者を権利の面など異なる方向で働かせるべきなのではないかと語った。

 

日本においても多くのアーカイブは存在するが、認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)の「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」の設立に注目したい。これは、2011年に発生した東日本大震災を主題とした記録映画、およびそれらの作品に関する情報を蒐集・保存し、災害・復興に関わる国内外の知見の発展に貢献し得る、将来にわたっての資料提供の場を目指したものである。 多くのアーカイブの存在を作り手がより有効的に利用すること、またそれらの権利の問題に関しても注視し、今後とも議論を続けるべきものであるだろう。

 

*http://www.themoviegourmet.com/?p=17879

*http://www.indiewire.com/article/8-great-documentary-discoveries-from-hot-docs-2015-20150504

*1 http://www.imdb.com/name/nm0065515/

*2 http://www.imdb.com/name/nm0398507/

*3 http://www.yidff311docs.jp/?page_id=29

 

雨無麻友子

World News 部門担当。青山学院大学総合文化政策学部所属、日本学生映画祭・夜空と交差する森の映画祭スタッフ、第27回東京学生映画祭副代表、AOYAMA FILMATE 2015代表として運営


コメントを残す