The Lighthouse(邦題:ザ・ライトハウス)は1890年のニューイングランド沿岸にある島が舞台です。二人の男は灯台守としての役目を果たすために、その下の巨岩に建てられた小屋に住み込みます。任務は4週間で終わるはずでしたが、低気圧が生み出した嵐が島を孤立させ、食料は尽きて、二人は残った酒を酌み交わします。監督のロバート・エガースは「二人の男が巨大なファルス[陰茎](劇中の孤島のこと)に囚われたときに何もいいことは起こらない」と俳優たちに本作のプロットについて説明しました。
ザ・ライトハウスは35mmモノクロフィルムで撮影され、ほとんど四角と言っていい、1.19:1の画面比が用いられました。その視覚効果はさまざまな反響を呼びました。NZ Heraldのリポーターは本作を”閉所恐怖症的で息苦しい感覚”と称しました。The Guradianの批評では以下のように書かれました。
“(本作は)現代の映画というよりも、19世紀に起こったことの幻覚を見ているようだといえるだろう。同時にとても’においたつ’ようで閉所恐怖症的だ、実際に酒臭さや屁が伝わってくる”
映画ではウィレム・デフォー演じる老練な船乗りが所構わずおならをするシーンが繰り返されます。コーナン・オブライエンのトークショーではそれらのシーンは即興ではなく、台本上に書かれてあったとデフォーは話しました。
上述の記事(The Guardian)によると、エガース監督は19世紀の英文学や言葉の訛りを勉強し、ハーマン・メルヴィル、ロバート・ルイス・スティーヴンソン、またエドガー・アラン・ポーなどを好んだといいます。二人の灯台守はとても荒々しい英語を話します。ウィレム・デフォーは長台詞の演技などを称賛されている一方で、ロバート・パティンソンの役はThe GuardianのレポーターSimran Hans氏から以下のように評されました。
“パティンソン、彼のとことんやり抜くエネルギーや挫けない気質があるにもかかわらず。(演技は)卑猥で、ごてごてしているし、ハーマン・メルヴィル調の台詞はボソボソしていたり、叫んだりしている”
と、かなり辛口な批評を受けてしまいました。
全編は監督の映画愛が溢れており、作品のスタイル、特に音楽はデヴィット・リンチ作品からの影響が強く感じられます。
☆参照
The Guardian
NZ Herald
https://www.nzherald.co.nz/entertainment/news/article.cfm?c_id=1501119&objectid=12309427
伊藤ゆうと
イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ(閉館した)”藤沢オデヲン座”で「恋愛小説家」を見たのを契機に 映画を観始める。Podcastを作りながら国際関係・政治などジャーナリズムの勉強中。
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