2月2日に行われた英国アカデミー賞(BAFTA)。映画業界の人種差別的な構造を指摘したホアキン・フェニックスの発言が業界内の称賛を浴びている。主演男優賞を受賞したフェニックスは、自らの受賞についての葛藤を述べた。「本来はこれに相応しい俳優仲間たちの多くが、この栄誉を手にしていないからだ。我々はあまりにも明白に『あなたたちはここでは歓迎されない』というメッセージを有色人種に送っている」。フェニックスは続けた。「誰も施しや優先待遇など受けたくないだろう。自分のした仕事で認められたい、称賛されたい、尊敬されたい、と誰もが思うはずだ。そして、自分もその問題の一部であることを恥ずかしく思う。なぜなら、私自身、自分が働く現場で多様性が確保されているかを確かめていなかったからだ」。「我々は組織的なレイシズムについて理解することに全力を尽くすべきだ。この抑圧的なシステムを作り出し、恩恵を受けてきた者には、このシステムを解体する責任がある。つまり、我々にかかっている」。[1]

 オリジナル脚本賞を含む2部門で受賞した韓国のポン・ジュノ、そして、脚色賞を受賞したマオリ系のタイカ・ワイティテイなどの受賞者もいたものの、全て白人俳優で占められた俳優部門のノミネーションは、発表後から批判を受けていた。[1]

 計4部門(主演男優、主演女優、助演男優、助演女優)の俳優部門にノミネートされた俳優の中に一人も有色人種が含まれていないばかりか、ごく限られた台詞しかない『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を含む二作品でマーゴット・ロビーが助演女優賞にノミネートされている状況を受け、ツイッター上では#BaftasSoWhiteというハッシュタグが作られた。このハッシュタグの下、『ハスラーズ』での演技が高い評価を受けているプエルトリコ系のジェニファー・ロペス、先日のゴールデン・グローブ賞で主演女優賞を受賞し、一般投票で決められる英国アカデミー賞のライジング・スター賞にもノミネートされている中国系のオークワフィナ、そして『アス』の主演であるルピタ・ニョンゴらがノミネートから外されていることを指摘する声が上がっていた。[2]

[1]

https://amp.theguardian.com/film/2020/feb/02/joaquin-phoenixs-attack-on-baftas-for-systemic-racism-meets-industry-wide-praise?__twitter_impression=true

[2]

https://www.telegraph.co.uk/films/2020/02/02/bafta-nominations-2020-full-list-nominees-who-best-film-director-actor/

佐藤更紗

国際基督教大学卒。映像業界を経て、現在はIT業界勤務。目下の目標は、「映画を観に外へ出る」。


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