第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した本作の日本公開が来年1月に迫っています。国際的なスターを招いた過去作とは一転して『パラサイト 半地下の家族(原題:Parasite)』は監督の出身地である韓国で撮影されました。

“entirely uncompromised in its sheer Korean-ness” by The Guardian


Guardian誌では、本作を以下のように紹介しています。
(過去作に比べ)本作は一方でカンヌで上映されてからというもの、批評家たちや同映画祭の審査委員長であるアレハンドロ・イニャリトゥの心を奪ってしまった。アメリカ、イギリスや日本などの公開を前に$91万の興行収入をあげた事はとても驚くべき成果だろう。付け加えるなら、韓国映画にあるような寒々しい雰囲気やぞっとするような暴力など純粋な韓国映画らしさ(sheer Korean-ness)がある。映画がJjapanguriという韓国風焼きそばを物語の重要な鍵として使うなどして、彼らの文化を鮮やかに映し出す。英語の台詞はないし、ハリウッドスターは、ここにはいない。

 

 “It was a fucking lie. My father was not a fisherman.” by Bong Joon Ho


過去作の『Snowpiercer』ではワインスタイン氏と編集権を巡って話し合いが行われ、公開時期が遅れるなどしたトラブルがありました。当時の様子についてポン・ジュノ監督はVulture誌のインタビューで振り返りました。

「あれは不運な出会いだったよ。ある時点までは、私はディレクターズカットしか公開したことがなかった。私は自分がやりたくないような編集はしたことがありませんでした。ワインスタイン氏のあだ名はハーベイ・シザーハンズ、彼は映画の編集にプライドを持っていました。同じく私も、編集についてはとても誇りを持っていましたよ」

ポン・ジュノ監督はトライベッカで行われたワインスタイン氏とのある打ち合わせについて振り返った。両氏が本作を見ていると「おぉ、君は天才だな」ワインスタイン氏
そう言い「じゃあ台詞を削ってみよう」と続けました。

映画のなかで、前部と後部に乗った乗客たちがいまにも殺し合いを始めようという時に、魚の腹が裂かれるシーンがあります。ワインスタイン氏はそのシーンが嫌いで、もっとアクションシーンを増やそうと、なぜ魚のシーンが必要なのかと監督に問いました。

「私はその時に頭を抱えました。何をしようかと考えました。そして突然『ハーヴェイ、この場面は自分にとって大事な意味があるんだ』と言いました。『おおポン、それは何だ』彼は応じました。『それは個人的なことで、私の父親は漁師だった。この場面は父に捧げているんだ』するとワインスタイン氏はパッとくだけた感じになり『それならもっとはやく何か言ってくれたらよかったのに、ポン!家族は何よりも大事だからな。この場面はこのままにしよう』そう言いました。『ありがとう』って言ったよ。ポン監督はインタビューの場で笑い始めました。あれは嘘っぱちでした。父は漁師なんかじゃなかったよ」

 

ポン・ジュノ監督は社会問題を作品に反映させることで知られており、本作では”硬直した階級主義や特権階級への反資本主義からの怒り”が扱われていると報じられています。映画の公開に先立ち、ポン・ジュノ監督のユーモア溢れるインタビューが掲載されたので、今回はニュースとして取り上げました。

 

VULTURE

https://www.vulture.com/2019/10/bong-joon-ho-parasite.html?fbclid=IwAR0eAKjy5jMTijrARvXbpgAllZRMh8tfkymGnC6jKMPRHtstcnLZL-hwNgg

 

The Guardian

https://www.theguardian.com/film/2019/oct/09/parasite-how-bong-joon-ho-returned-home-to-make-his-masterpiece?fbclid=IwAR10KkPUy3euhr_pScJALA6Mx0zBbiMsQq9rPFeWC53Tjv4dg33TQksSQEM

 

IndieWire

Bong Joon Ho Duped Harvey Weinstein With a Hilarious Lie to Save ‘Snowpiercer’ Scene

伊藤ゆうと
イベ ント部門担当。平成5年生まれ。趣味はバスケ(閉館した)”藤沢オデヲン座”で「恋愛小説家」を見たのを契機に 映画を観始める。Podcastを作りながら国際関係・政治などジャーナリズムの勉強中。


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