アップル社は、来る11月1日にサービスの開始が予定されているApple TV+での配信に先駆け、長編映画作品『The Banker』、『Hala』、ドキュメンタリー作品『The Elephant Queen』の3作品を、一部の都市で劇場公開することを発表した。これらの作品が一体いくつの劇場で公開されるのかは不明だが、アップル社はすでに、Imax Entertainmentの代表であったGreg Foster氏を公開戦略のコンサルタントとして迎え入れている[1]

 さらにアップル社が劇場作品化を検討しているという『On the Rocks』の詳細も明らかにされていない。ソフィア・コッポラとビル・マーレイが再び組むことになるこの作品はA24のプロデュース作品となるようだ。また、関係者がVarietyに語ったところでは、劇場公開前にカンヌ映画祭での上映を目指しているとのことだ。[1][3]

 2018年11月に報じられているように、『ムーンライト』の製作会社として知られるA24は、アップル社と複数年契約を結んでおり、この契約に基づき、アップル社のために複数の作品を製作することとなっているようだ。このA24とのパートナーシップは、アップル社の映画製作計画に関して、初めて出された具体的な声明だった。[2]

 サミュエル・L・ジャクソン出演の『The Banker』は、人種差別がはびこる社会で、裏ルートで不動産や銀行の所有権を手に入れ、自分たちのコミュニティの繁栄に貢献した二人のアフリカ系アメリカ人を主人公にした実話を元にした作品、サンダンスで注目を浴びた『Hala』は、シカゴ郊外を舞台に、伝統的な家族の慣習と現代的な高校生活の間で揺れるムスリムの十代の少女を描いた作品、『The Elephant Queen』は、減少しつつある野生の象の家族を追ったドキュメンタリー作品と、初の映画製作としては、幅広い作品をほぼ同時に製作・公開するアップル社。かつての映画製作システムが崩れ始め、配信サービスを中心とした様々な企業が映画製作・劇場公開に進出してきた今、改めて「映画とは何か」が問われているように思う。[3]

 

[1]

https://www.hollywoodreporter.com/news/apple-reveals-first-films-get-theatrical-releases-1244018?utm_source=twitter&utm_medium=social

[2]

https://www.hollywoodreporter.com/news/a24-make-movies-apple-1161729

[3]

https://variety.com/2019/film/news/apple-theatrical-dates-anthony-mackie-hala-elephant-queen-1203352195/

 

画像(『Hala』):https://www.imdb.com/title/tt6348410/

 

 

 

佐藤更紗

国際基督教大学卒。映像業界を経て、現在はIT業界勤務。目下の目標は、「映画を観に外へ出る」。


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