[730] 視聴者によるストーリー選択型のインタラクティブ映画『ブラックミラー:バンダースナッチ』配信開始


 
 テクノロジーが発達したディストピア的近未来をテーマにした、Netflixの人気シリーズ『ブラックミラー』。シーズン5の製作決定も発表されているが、視聴者が結末を選べるインタラクティブな新作『ブラックミラー:バンダースナッチ』が公開され、反響を呼んでいる。

 舞台は1984年、主人公のステファンは、有名なCYOA(Choose Your Own Adventure=自分の冒険を自分で選べ)本である『バンダースナッチ』をゲーム化しようとしている。実際に存在したこのタイプの本では、読者はストーリーの途中で選択することを求められ、その選択により「〇〇ページに進む」という指示を受ける形で、読者の選択により、ストーリーが変わっていく。しかし、このCYOAを本ではなく、映画で再現しようとする試みは、必ずしも成功していないようだ。Netflixによると、5タイプのエンディングが用意されているということだが、スキルを上げることや謎を解く楽しみから、何度も同じゲームをプレイするプレイヤーが多いゲームとは違い、映画においては、違うエンディングを見るためだけに、同じシーンを何度も見なければならないことを辛いと感じる視聴者もいるだろう。また、選択によっては、同じ内容のループに入ってしまうなど、実質、選択が機能していない部分もある。[1]

 視聴者の選択によるストーリーの組み合わせは無数にあるというが、実際のところ、その中には本筋に全く影響しない選択も含まれており、また、上述のようなストーリーのループに入ってしまうだけでなはなく、本来のストーリーに戻れるよう、選択のやり直しを求められる場合も出てくるのが実情だ。[2]

 そして、視聴者に選択肢を与えたことにより、主人公のキャラクターが弱くなってしまった、という弱点がある。視聴者が選択する際、主人公が何を欲し、どういう人格であるか、といった主人公の視点に立って、視聴者が選択を行うことはなく、単に視聴者が、自分がより面白いものを見たい、という基準で選択を行うからだ。そのため、主人公は、視聴者に操られるだけのものになってしまっている。また、「トラウマを抱えた、苦悩する天才」という基本的なプロット自体が弱いことを指摘する声もある。[3]

 しかし、視聴者選択型のストーリーを作成するためには、膨大な労力がかけられている。作成開始から完成まで2年の月日を費やし、撮影期間は35日間に及ぶ。起こり得る全てのシーンをカバーするために250の場面が撮影された。クリエイターのBrooker氏は、通常のエピソードの二倍の労力を要するものになるだろうとは思っていたが、実際は4つのエピソードを同時に進めるようなものだった、とThe Hollywood Reporterに語っている。[4]

 今後もこういったインタラクティブな作品を増やしていく予定であるとのことだが、それは同時に、ゲームスタジオとのパートナーシップを結んだ際に浮上した「配信はゲーム分野に進出しようとしているのではないか」という噂に結び付くものではないのか。Varietyのその問いに対し、プロダクト部門のVice PresidentであるYellin氏はこう語る。「私たちはこれをゲームだとは考えていません」「非常に面白くなる可能性があるものを見つけたのだと思っています」。[2]

https://www.npr.org/2018/12/28/680671691/black-mirror-bandersnatch-makes-you-choose-your-own-adventure [1]

https://variety.com/2018/digital/news/netflix-black-mirror-bandersnatch-interactive-1203096171/ [2]

https://www.nytimes.com/2019/01/02/arts/television/netflix-bandersnatch-the-sopranos.html [3]

https://www.hollywoodreporter.com/live-feed/black-mirror-bandersnatch-netflixs-interactive-film-explained-1171486 [4]

佐藤更紗
国際基督教大学卒。映像業界を経て、現在はIT業界勤務。目下の目標は、「映画を観に外へ出る」。


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