[作品紹介]

地球とよく似た惑星を舞台に、孤独にもがき続けるひと組のカップルの姿を映し出すSF叙事詩。生と死がコントロールされた管理社会の中、アユムとエマにとっての子供は赤ん坊の人形だった。しかし、アユムは子どもができない理由が自分にあることをわかっていた。出演は『赤い玉、』の村上由規乃、『youth』の古矢航之介。坂田貴大監督による劇場デビュー作。

 

 

人間がいのちを繋ぐこと。新しいいのちが誕生すること。それは運命であり、奇跡だ。そういう奇跡が義務として存在している未来の世界では、いのちが、あるいは生きる営みがまるで「作業」であるかのようで、冷たい。何か大切であっただろう時間が過ごされないまま時を積み重ねてしまったエマとアユム。そんな2人の世界は窮屈で少し息がしにくそうで、どうしたって孤独の影がすぐ近くに差し迫っていたように思う。

エマが違う、違う、違う!と泣きながら繰り返したあの言葉には、どうすることもできない目の前の事実に、悲しみ、腹立たしさ、悔しさのようなものが切実に立ちはだかっていた。そしてそれらはたぶん、誰に向けたらいいのだろうか、行き場のないものだったのではないか。義務とされた、それ以上に愛してしまうこと。

冷え切った世界で、そこにはただただ静かに熱い何かが脈打っているように感じた。

 

 

12月22日(土)より嘆きの1週間レイトショー 池袋シネマ・ロサにて!

 

『クマ・エロヒーム』

2018年/日本/76分/カラー/ステレオ/DCP/16:9

出演:村上由規乃、古矢航之介、
高見綾、本田七海、加賀谷健、マリア・マルコヴィッチ、グールド・バイロン、渡部剛己

監督:坂田貴大
撮影:清水大河
録音:島田実里
製作:紀平知賢、大須賀一正
助監督:河合遥祐
スタイリスト:大﨑智美
ヘアメイク:津嘉山南
CG:伊藤聖也
車輌:宮﨑渉大
音楽:hakobune
ヴァイオリン作曲:尾方凜斗
ヴァイオリン演奏:恒吉泰侑
整音:原夕輝
ビジュアルデザイン:荒木彩可公式ツイッター:https://twitter.com/kuma_elohim2017
コピーライト:(c)映画「クマ・エロヒーム」製作委員会

 

渡辺花大学で映像について学んでいます。「光の墓」がすきです!