春光うららかな季節がやってきましたね みなさまいかがお過ごしでしょうか?
春休みも終わりましたが(ずっと春休みならいいのに!)まだ課題が終わっていない今日この頃です・・今回は極私的な内容のブログですので、自由にこの場をつかってしまうことをお赦しください。

二十歳の春休みを、わたしはどこかに旅行するでもなく地元に居座り、3月後半はほぼ毎日習慣のようにシネマヴェーラ渋谷で特集されていた「神代辰巳の世界〜没後二十年メモリアル特集〜」に通っていました。

神代チラシ

↑会期中持ち歩いたくったりしたチラシ。

○で囲んだ映画を観賞。会期中はトークショーも開催され、惜しくも予定が合わず宮下順子さんとスクリプターである白鳥あかねさんのトークショーには行けませんでしたが、『恋人たちは濡れた』(1973)『女地獄 森は濡れた』(1973)に出演されている中川梨絵さんの回に足を運ぶことができました。

中川梨絵

↑中川梨絵さん(『恋人たちは濡れた』より)

まず、そのお美しい姿に目を奪われました。艶めいた表情と綺麗な黒髪に、明るい色のお着物がとても似合っている。そして話しだしたら力強く、明るくて聡明なトークと、映画に対する姿勢に大変心を惹かれました。年齢を重ねても綺麗な姿、声、聡明な知性を兼ね備えた女性には、思わずみとれてしまいます。「神代さんはわたしに負けた」という言葉の響きとその内容がおもしろく、特にその神代が負けたという『女地獄 森は濡れた』で、梨絵さんの遊びとセンスが炸裂しています。

 

特集に通っている時、よく外国人男性を見かけました。トークショーで知ったのですが、彼はDimitri Ianni(ディミトリ・イアニ)さんといい、ロマンポルノの大ファンで、なんとフランスで『The legend of nikkatsu roman porno』という日活ロマンポルノの本を出すのだそうです! 
日活ロマンポルノ、フランス、ディミトリ・イアニ氏、、と関連している言葉を並べ検索すると、こんな記事を見つけましたので貼付けておきます。短い記事ですので、是非お時間ありましたら一読ください。記事では12年に出版予定と書いてありますが、おそらくまだです。この辺の情報が曖昧です。

「日活ロマンポルノ」がパリマダムに大人気の理由

 

今回の特集では神代のテレビドラマも上映されました。『悪女の仮面 扉の影に誰かが…』(1980)と『死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い』(1987)の2本です。これが、トラウマになるほど面白い。
『悪女の仮面〜』は当時の土曜ワイド劇場で放映。出演している浅野温子のキャラクター設定と演技が飛び抜けていて、何度も吹き出してしまいました。顔が怖すぎるし、あんな映像いまのテレビでは観られません。当時の自由さに笑えます。『死角関係〜』は、火曜サスペンス劇場。こちらは戸川純ちゃんが出演されていました!歌手ではなく女優の戸川純を観たのは初めてで思わず感涙・・。相変わらず困り眉毛がうじ〜としていてかわいらしかったです♡

 

今はラピュタ阿佐ヶ谷でもレイトショーで日活ロマンポルノの監督加藤彰特集が組まれています。大好きな女優たちをスクリーンで観られる機会が豊富な日々に、ウキウキです。が、そんなわたしのラブリーな春休みは終わった・・ドワイヨン『ラブバトル』ブレッソン『やさしい女』も公開し、とてもとても観に行きたいのですが・・しばらくは課題のため行けなさそうです。涙。

 

ここからは少しテンションが上がります。今回のブログでお話ししたかったことはフランスで日活ロマンポルノの本が出される!ということであり、以下は特に重要ではないため、ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございます。まったくIndieTokyoっぽくない内容でごめんなさい。

 

ロマンポルノには魅力的な女優さんが多く、芹明香さん、泉じゅんさん、山科ゆりさん、田中真理さん、宮下順子さんなど、素敵な方がたくさんいるのですが、今回の特集で何度も出て来てインパクトのあった丘奈保美にけっこうやられました。力強いお目めと役柄がキュート。あと、谷ナオミさんを観ていると元気が出ます。身体が。

 

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田中真理 赫い髪の女

 左上から芹明香、泉じゅん、山科ゆり、田中真理、同じく田中真理(の傑作)、宮下順子

 

今回の上映作品で最もわたしの胸をうった『宵待草』(1974)は、女1人、男2人の青春ロードムービー。『明日に向って撃て!』のように爽やかな風を撒きながら進み続け転がる男女の儚い若さと、歌と、台詞を奪われたようにただそれだけを口にする主演の高橋洋子の純朴さに、この3人の旅に寄り添うことの幸福感と苦さを味わいました。

『一条さゆり 濡れた欲情』(1972)も印象に残った作品です。女の強さを、ロマンポルノ女優たちはしなやかに身体をむき出し、教えてくださっている気さえしますが、でも、実際の人物である伝説的ストリッパーの彼女の姿には、相当なショッキングを与えられました。凄い。この人は、だれよりも強い。

前年1971年には東映で中島貞夫『セックスドキュメント 性倒錯の世界』を撮り、その中では性転換手術をした銀座ローズさんの姿も映っていましたが、神代はこれをドキュメンタリーではなく一条さゆりという一人の女のために映画にしています。中川梨絵さんも、この映画を観て感銘を受けたとおっしゃっていました。(この映画では伊佐山ひろ子さんがとってもかわいいです ナイススカート丈!ナイスくちびる!)

 

他にも『黒薔薇昇天』『赤線玉の井 ぬけられます』『四畳半襖の裏張り』など最高な作品の名台詞や名シーンなどが頭から離れません。ローラースケートを履いて廊下を・・とか、火鉢の新たな使い方とか、印象的なことばかり彼の映画では起こります。

 

 

そんなこんなで、神代に通いつつ課題である吉村公三郎を観つつ、岡崎京子展で愛に悶えちゃったり、なんやかんやと日が過ぎて行ったところで、気がつくと、神代の映画でよく歌われる「なかなかづくし」の歌を覚えたりなんかして、人気の少ない夜道で鼻歌まじりに歌いつつ、明日の洋服のことを考えたり、さっき観た映画を思い返しては女の苦み辛みを考えたりして、甘ったるく神代辰巳を楽しんだわたしの春休みは幕を閉じたのでした。おしまい。

 

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。ヴェーラの受付のお姉さんはやっぱり世界一可愛いです。お見苦しい文章を失礼いたしました。では、また次回。そろそろイベントの告知ができるころです。ゆりあ。

 

尾形ゆり愛
イベント・上映部門担当。日本大学芸術学部映画学科理論専攻。「花の24年組」少女漫画と60’sカルチャーを偏愛する。忘れ物と落とし物が多く転びがち。五月とチューリップと青色とアイドルがすき。