花粉症には辛い季節がやってきましたね。みなさまこんにちは。のりさだと申します。本日はベロッキオ女子・通称「ベキ子」として、『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』について書かせていただきます。

 

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 わたしとこの作品との出会いは、およそ2・3年前に渋谷のイメージフォーラムで組まれたベロッキオ特集。そこで出会って以来、わたしはこの作品を愛しております。

(はずかしながら)ベロッキオに関する知識はほとんどゼロでベロッキオ特集に挑んだ当時のわたし。「まるこ・べろっきお?なんか有名な人でしょ、多分。せっかく特集してるなら見てみるか〜時間あるしィ〜」などと、ふらりとチケットを買った記憶があります。

 当然作品は素晴らしかったわけで、渋谷で暇を持て余して『愛の勝利を〜』を選んだセンスだけは褒めてあげたいと思います。偉いぞ、わたし。

 そうして運命に導かれ(?)、わたしは『愛の勝利を〜』と出会ったわけですが、美しい映像と主演のジョヴァンナ・メッゾジョルノの目力、頻繁に挿入されるオーケストレーション。どれをとってもたまらなくかっこいい。

 作品の原動力となるのはムッソリーニを愛した女・イーダですよね。作中ではとにかくイーダが「走り回る」ことに加えて、しょっちゅうイーダが壁なり塀なりを「よじ登る」、そして「乗り越える」ことが印象的でした。

 

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 イーダの行動と意志には常に半端ない力強さがある。すでに鑑賞済みの方はお分かりのことと思いますが、ラスト数シーン(素晴らしい)のあと、画面に大きく映し出されるタイトル「VINCERE(勝利)」。あれかっこいいですよね〜。最初から最後まで目の離せない、パワフルな映画だと思います。

 

 今回ブログを書くにあたってパソコンでこの作品を見直したのですが、見直して印象的だったのは、ニュース映像のモンタージュでした。もちろんこの映画が撮影されたときにはムッソリーニはいなかったわけで、ニュース映像とか当時の写真を挿入することで、観客にこの作品を信じさせるっていうのは映画の魔術であって、ベロッキオは確実に意図的に使ったと思うんですよね、魔法を。

…… 魔法を。

私は映画ロマンチストなのですぐに「魔法」とか言いたがるんですが、それほどの引力はこの作品にあると思います。

あとは、何と言ってもやっぱり映像が美しいですよね。ただ、自宅の鑑賞環境では影の黒さの再現がイマイチだったので、なんとかスクリーンで見直したいところです。うう、お願いだからだれか上映してくれ!

 

 そんなわけで、私はこの作品を偏愛しています。上にぐだぐだと書きましたが、なにより私が女であること、強くイーダに感情移入してしまうということが、私のこの作品に対する愛の原動力かもしれない。とにかく私は女として、この作品が大好きです。だから男の人やわたし以外の女の人がこの作品を見たらどのような感想を持つのかというのは、個人的に非常に興味があります。

 というわけで、ベキ夫の皆さま、ぜひ感想をお寄せくださいませ。ベキ子・のりさだからは以上ですー。

 

 次回の新文芸坐シネマテークでは『愛の勝利を〜』の上映はありませんが、マルコ・ベロッキオ『母の微笑』、『エンリコ4世』の上映がございます。ぜひ3月は、一緒にベロッキオに魅了されましょう!

 


ベロッキオのレアな傑作2本が池袋新文芸坐で上映されます!
新文芸坐シネマテークVol.8 イタリアの怒れる巨匠/マルコ・ベロッキオ
3/18(金)『母の微笑』+講義(大寺眞輔)19:15開映
3/25(金)『エンリコ4世』+講義(大寺眞輔)19:15開映

第8回 新文芸坐シネマテーク


 

則定彩香
WorldNews部門、新文芸坐シネマテークゆるキャラ(のりさだちゃん)、オルタナS執筆、ときどき取材カメラマン。横浜国立大学人間文化課程にてフランソワ・トリュフォー作品を研究中。