『ブルキナベ・バウンティ/ Burkinabe Bounty: Agroecology in Burkina Faso』

西アフリカの小さな内陸国であるブルキナファソの農業抵抗と食糧主権争いをテーマにしたイアラ・リー(Iara Lee)監督によるドキュメンタリーが8月25日東京スプリング主催で上映されます。それに伴って、今回の記事では『ブルキナベ・バウンティ』の姉妹作である『ブルキナベ・ライジング/BURKINABÈ RISING: the art of resistance in Burkina Faso』の紹介をしたいと思います。

『ブルキナベ・ライジング』は同じくIara Lee監督によるブルキナファソを舞台にしたドキュメンタリーで、主にインタビューを通してブルキナファソの人々の活動を紹介しています。様々な形の創造的な活動を通して社会に働きかける彼らの姿は、ブルキナファソの人々は勿論、世界の人々にもインスピレーションを与えています。

以下、『ブルキナベ・ライジング』のレビューです。

このレビューを読み多くの方が上映会に足を運んでくださることを願っています。

 

ブルキナファソ。(Burkina Faso/Burkinabe)

今まで一度も耳にしたことのなかった西アフリカの小さな国。

それなのにこの映画を身終えた後、私はまるで自分もブルキナファソの一員になったかのような気持ちがした。Iara Lee監督が映し出すブルキナファソの人々はとても力強く魅力的で外に開かれていて、私を未来の希望に導く力を持っていた。

ブルキナファソは6ヶ国と国境を接している西アフリカの内陸国だ。約60の民族がそれぞれの言語と文化を持ちながら共存する多民族国家でもある。(公用語はフランス語。)人口は2017年時点で約1900万人、西アフリカ内では最も人口の多い国で「西アフリカの心臓部分」と呼ばれているそうだ。(1) 60もの民族を一つに繋いでいるブルキナファソの要は1987年に友人であるブレーズ・コンパオレのクーデターによって殺害された元大統領のトーマス・サンカラの革命精神だ。2014年10月、27年の抵抗を経て市民の大規模な反乱によりブレーズ・コンパオレ政権を倒すことに成功した。

事前知識なしにブルキナファソの有機農業に興味を持ち向かった先で、ブルキナファソの人々に魅了され映画を作ることに決めたとLee 監督は語っている。数週間で国に慣れ、友人の紹介を含めfacebookなどのソーシャルネットワークを駆使して人々に連絡を取り映画製作を進めていったというのを知り驚いた。しかしそれもそのはず、すぐに納得した。なぜなら映画は純粋な力と勢いに溢れていて監督自身が彼らからインスピレーションをもらいそれを原動力に映画を作ったことが感じられるからだ。(2)

映画には様々な人々が登場し、彼らのインタビューを中心に映画が進んで行く。農業を営む人々から、活動家、音楽家、画家、ダンサー、シンガー、スラムポエトリー(詩の朗読)。彼らの語る内容も多岐に渡っていて、政治的な国同士の取り決めによるモンサントなどの化学肥料の使用への反対から女性の役割の向上、そして気候変動まで、各々が問題意識を持ち彼らの方法で対峙している。さらにブルキナファソでは人口の80%以上が農業に従事しているが映画でも触れるように気候変動の影響による水不足や、化学肥料による被害も多く起こっている。ある音楽家は気候変動に言及し、ブルキナファソは元々水の供給が少ない上に気候変動の影響で水不足に苦しんでいると語る。女性が遠くにある水汲み場まで水を汲みに行かなければいけないなど厳しい環境で暮らす彼らだが、映画はむしろそれをどう乗り越えるのか、変えていくかというポジティブな視点で描かれている。

明るさと力に満ちた人々が口を揃えていうのは、自分たちの行動からブルキナファソ、そして世界の人々に気付きを与えたいということ。全員が活動を通していまの社会に変化を起こそうとしているのが伝わってくる。

そんなブルキナファソの人々の姿は、Lee 監督自身の鏡でもあると感じた。インタビューで監督は監督の経験を通して、非暴力かつアートや音楽の力で政治や社会に働きかけることへの意義を語っているが、彼らが行っていることはまさにそれである。しかも彼らは27年間の忍耐と抵抗を経て市民による大規模な反乱で実際に社会を変えたのだ。物事をすぐに変えことは難しいが27年の努力の蓄積が人々を繋ぎ、小さな一人一人の力が大きな力に変わった。それが2014年にブルキナファソで実際に起きた革命だ。

その革命を踏まえ、平和と彼らの信じる正義を求めて、暴力ではなく彼らの持つ創造力を通して新たに生まれ変わろうとしているブルキナファソの人々の力強い姿には心を打たれる。

西アフリカの小さな国で波打つ鼓動をぜひ感じて欲しい。

映画は、私たちの文化とは全く違う、新しい世界を知るチャンスでもあります。

映画を見終えた後に作りました。明るく力強いパワーをもらいました。

引用

  • 駐日ブルキナファソ大使館HPより:

https://sites.google.com/site/burukinafasotaishikan/le-tourisme-au-burkina-faso

  • インタビュー動画/Iara Lee – Filmmaker, Activist and Founder of Cultures of Resistance より:

https://www.youtube.com/watch?v=M92sapB0TUc

 

『ブルキナベ・ライジング/BURKINABÈ RISING: the art of resistance in Burkina Faso』

Languages of the original work : French, English, Moore

Director/Producer: Iara Lee

Editor: Dimo Petkov

Cinematographer :Yeray Martin Perdomo

Associate Producer, Additional Cameraman: Gualbert Thiombiano

Second Cameraman: Issa Pafdnam

Sound Recording: Halassane Sanfo

Music: Mahdyar Aghajani

Production Manager: Amelia White

予告編:https://youtu.be/0NvrxUucNfg

(公式HPhttps://culturesofresistancefilms.com/burkinabe-risingより引用)

 

東京スプリングにより姉妹作である

『ブルキナベ・バウンティ/ Burkinabe Bounty: Agroecology in Burkina Faso』が8月25日に上映決定!

公式HP:https://culturesofresistancefilms.com/burkinabe-bounty

予告編:https://vimeo.com/253616680

あらすじ:イアラ・リー監督のドキュメンタリー、ブルキナベ・バウンティは、西アフリカの小さな内陸国であるブルキナファソの農業抵抗と食糧主権争いを記録しています。地元のスローフード運動の活動家の農民、学生、芸術家、指導者たちを紹介するこの映画は、ブルキナベの人々がどのように土地を取り戻し、企業農業の侵略から伝統を守るかを見ていきます。 「ドロ」ビールを販売することで経済的自立を獲得した女性から、モンサントのような企業と路上で行進する若者や、トーマス・サンカラの革命精神を復活させたヒップホップミュージシャンまで。ブルキナベ・バウンティは、人々が食物、種、そして未来のコントロールを取り戻すために使用している創造的な戦術を示しています。

東京スプリング映画/ディスカッション

「ブルキナベ・バウンティ:ブルキナファソの農業生態学」(25, August 2019)
Tokyo Spring film/discussion event “Burkinabe Bounty: Agroecology in Burkina Faso”

日時:2019.8.25(SUN) open 3:00 start 3:30
場所:Cafe★Lavanderia ( MAP | facebook )

イベント参加は無料です。(ただし上映前に必ずワンドリンク・オーダーをお願いします)

また可能な限りでかまいませんのでカンパをお願いします。
The event is free of charge.We take donations.One drink order a must

詳しくはこちら:https://tokyospring.blogspot.com/2019/08/burkinabe-bounty.html

 

永山桃
早稲田大学4年生休学中ですが近々日本に帰国します。ロンドンで、日本にいるときよりはアフリカを近くに感じますがそれでも興味を持たなければ何も知らないままです。このように映画を通じて世界の国や人々を知れることは本当に素晴らしいことだと思います。アフリカ大陸は未上陸ですがブルキナファソの隣国であるガーナ出身のお友達もできたのでいつかブルキナファソも行ってみたいです。あとは元々猫が好きなのに、柴犬をかっていますワンワン!