こんにちは、実はジョアン・ペドロ・ロドリゲスの宣伝部長(twitter等に投稿してました)をしています、普段はWorld Newsで書いている藤原です。

蒸し暑いお天気になってきましたが、そんな季節に雨が印象的につかわれるちょっと奇妙なラブストーリー、『オデット』はいかがでしょうか?

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子供が欲しくて仕方がないスーパーの店員、オデットは事故死した隣人ペドロの指輪を手に入れ、彼の子供が自分に宿っていると信じ込みます。
ペドロの生前の恋人、ルイは幻覚を見るようにになり、彼の死を受け入れきれていません。次第にペドロと同化するオデットと彼の影を追うルイ、ペドロというひとりの男の死を巡って交錯する一組の男女の関係性の変化が詩的に映し出されます。

と、不思議なファンタジックさと力強さがあるこの作品ですが、以前ファスビンダーの研究をしていたこともあり、個人的には両者のクィア性を比較してみてしまいました。

ポルトガル映画ということもあり、みるまえはなんとなくオリヴェイラやアントニオ・レイスのような感じなのかなあと思っていましたが、なんだかもっと静と動のぱっきり別れた監督だなあという印象を持ちました。
カメラはオリヴェイラを髣髴とさせるほど近いけれど、もっともっと登場人物に寄り添って優しい目線で彼らをフレームにおさめます。ひっきりなしに鳴っている音楽も監督の分身のように彼らの気持ちを代弁し、現実/非現実の境界をあいまいにします。

ファスビンダーの描く「同性愛」はキッチュなイメージの中でもそこで扱われる問題はあくまでリアリズムに即しているのに対し、ロドリゲスの描く「同性愛」はどこか夢のような、おとぎ話のような質感があり、不思議な後味を残します。
この点に関しては不思議だなあと思っていて、例えば『オデット』の中のサウナのシーンなど、直接的な描写はロドリゲスの方が顕著だと思うのですが、社会というフレームの中での両者の同性愛のとらえかたが少し違うのかもなあと思いました。
(実際、時代も国も違いますしね。しかも、ロドリゲスにはきちんとパートナーがいる!ファスビンダーはもっと孤独だったから、作風にもそれがあらわれているのかなと感じました。)

あと人物が車や徒歩、ローラースケートで平行移動するのを追っているシーンも多く、同じ場所を通っていても移動手段で街の見せ方は変わるのだなあと、映像の面白さにも惹かれました。

音楽も魅力的で、画も陰影で魅せるシーンがおおいので、ぜひ劇場で観てほしいです!

さてさてこの『オデット』も含む4作品が来週の金曜日、12日にアテネ・フランセ文化センターで上映されます。奇遇なことに、その3日後である15日からはファスビンダー作品の上映会もはじまりますよ!
みなさまこれは、来週末からきっと、お茶の水から出られませんね!
(整理番号、特典付き4回券もあります、暗闇ダッシュ回避のためにもぜひ予約してくださいね)
ぜひぜひぜひぜひ、ふたりのジョアンと(ファスビンダーにも!)会いにいらしてください!

ジョアン・ペドロ・ロドリゲス レトロスペクティブ
日時:6月12日(金)
東京:『ファンタズマ』『オデット』『男として死ぬ』『麻雀』&監督2名によるトークイベント!
主催:IndieTokyo
会場:アテネ・フランセ文化センター
入場料:『ファンタズマ』『オデット』『男として死ぬ』 1200円/『麻雀』&トーク 800円/4回券 3800円
会場:アテネ・フランセ文化センター

4回券のみ整理番号付きで予約対応します!
1.お名前とフリガナ
2.人数
3.お電話番号
以上を明記の上、当サイトの「コンタクト」からご連絡ください。
折り返しこちらから確認メールを送信致します。
当日は、予約4回券(整理番号付)、当日4回券(整理番号付)のあと、当日1回券は並んだ順番でのご入場となります。

日時:7月09日(木)
京都:『オデット』『麻雀』&豪華特典映像!
主催:同志社大学今出川校地学生支援課、IndieTokyo
会場:同志社大学寒梅館ハーディーホール
連絡先:同志社大学今出川校地学生支援課 075-251-3270

藤原理子
World News 部門担当。上智大学外国語学部ドイツ語学科4年、研究分野はクリストフ・シュリンゲンズィーフのインスタレーションなどドイツのメディア・アート。上智大学ヨーロッパ研究所「映像ゼミナール2014」企画運営。ファスビンダーの『マルタ』のような結婚生活をおくることを日々夢見ております。