キャンディを片手に今にも発車しそうなバスに駆け寄り
軽々と乗り込む女の子レオニー、高校卒業を目前に控える18歳。

彼女の表情や言動の節々から感じ取れる全てへのもどかしさ。
すました顔をして、彼女の頭の中は不安とイライラでいっぱい。

レオニー、君は何を見つめているの?
何を考えているの?私は映画を観ながら彼女にそう問いかけたくなってしまう。

自分がどこへ行けばいいのか分からなくて、自身の持つ全てを持て余している。そしてコントロールの仕方が分からないが故に周りを(少々)乱暴に振り回す。それに彼女自身も振り回される。

友達との付き合いもそこそこ、何にも興味が持てないレオニーの気を唯一引いたのはダイナーで出会ったミュージシャン・スティーブ。彼との時間は間違いなく彼女にとって特別で、暗闇の中にいる彼女の唯一の”光”だ。スティーブについては多くは描かれないが彼にとっても彼女の存在は特別だろう。

最後の最後までレオニーのしたいことはわからない。
(それは彼女自身もわかっていないのだから、誰がわかるというだろうか!)
でもそういうものだよね。今はそれでいいんだよ、レオニー。
なんて彼女より少しだけ年上の私が心の中で応援する。

時間が経つのはなんて早いことだろう。
レオニーもきっとそう遠くない未来、もしくはずうっと遠い未来に、この時の彼女を思い出して少し恥ずかしくなりながらもそれで良かったとすました顔で笑うんだろうな。

レオニーの役柄は彼女だけの特別な家庭の状況と、誰もが通り抜けるであろう若い時の迷い、閉塞感、退屈を共存させることで魅力的な主人公に作り上げられている。そしてそれを演じるカレル・トレンブレイ(Karelle Tremblay)が役にはまっている。妙に大人びた冷めた目で周囲を見つめるその絶妙な表情。そんな彼女に寡黙に寄り添うスティーブ、ピエール=リュック・ブリラント(Pierre-Luc Brillant)。2人の息もぴったりだ。

スティーブの目線からこの映画を観てみると、レオニーに焦点を当てた見方だけではなく2人の関係性にもより注目ができ、また違った楽しみ方が出来るに違いない。スティーブの辿ってきた物語も観てみたい。

今まさに暗闇の中にいる貴方は、レオニーと一緒に小さな光を探しに。
もう暗闇から抜けた貴方は、その暗闇を追体験しに。(改めて何かが見つかるかも。)

『さよなら、退屈なレオニー』

(原題:The Fireflies Are Gone)

6/15(土)から新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!

配給:ブロードメディア・スタジオ

監督:セバスチャン・ピロット

出演:カレル・トレンブレイ/ピエール=リュック・ブリラント

2018 年/カナダ/英題:The Fireflies Are Gone/96 分/ビスタ

配給:ブロードメディア・スタジオ ©CORPORATION ACPAV INC. 2018 

HP:http://sayonara-leonie.com/

予告編:https://www.youtube.com/watch?v=QHRdY-CgIFY#action=share

 

永山桃
早稲田大学4年生を休学してロンドンに留学中です。今は映像制作会社でインターンをしています。劇中のレオニーのファッションが可愛い!特にミニスカートと黄色のハイソックスのスタイルにキュンとしました。ロンドンでレオニーのような女の子を沢山見かけるのでレオニーをより身近に感じます。    あとは、猫が好きなのに、柴犬をかっています。ワンワン!