冒頭、大きくてまあるいおじさんの身体、2つ。

なんて可愛らしいフォルムなんだ!と思い、思わず一時停止。

そして、一時停止などせずとも、物語の要所要所でそのフォルムを垣間見ることとなる。

 

 
 
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ウィリーと弟のミシェル、二人は双子で、とても顔がよく似ている。
おお、これからほのぼの系のまあるいおじさんの日常が始まるのかな?と思いきや、
ウィリーにとって、悲しい現実に向き合うことになる。
 
弟のミシェルが自殺をしてしまうのだ。
 
私たちには、冒頭でその予兆を感じることが出来るのだけど、ウィリーには予期せぬ出来事であった。
両親からは、『お前も自殺するんじゃないか、施設にいた方がしあわせだ(的なこと)』と言われ、
なにくそ!と思うウィリー。
(もともと適応障害があるから、親は気にかけたつもりなのだろうけど)
そして、生活は一変する。
 
 
まず、実家から出て、知り合いのところに泊めてもらうウィリー。
しかし、結局上手くいかない。
でも、その街、コドゥベックは、ウィリーにとって、ずっと住んでみたかった街であり、
何故かその街で、スーパーの店員として採用される。
 
そこで働き、そして同じ名前のウィリー、という青年に会ってから、ますます変わるのだった。
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もう、50歳のストーリーとはとても思えないほど、じれったい!
 
視覚的に映るのは、50代のふとっちょなおじさんであり、7、80代のおじいちゃんおばあちゃん両親であり、
作ろうとする友達だっておじさんおばさん。
なのに、描かれる内容は、よし!一人暮らしするぞ!とか、友達を作るぞ!とかだし、
いざ、作ろうとした友達たちは、非常に大人げない。
 
もどかしい!
 
でも、大人になりきれない大人の気持ちが痛いほどよくわかる。わかるよ。
私自身も、意外に歳いってるね、と言われる身ですから。
 
だから、心が、ずーっと痛い。
 
でも、ウィリーのそのかわいい表情と、フォルムに癒され(思わぬスローモーション・セクシーシーンあり)、
もう一人の青年ウィリーと、本当に分かち合いたいことを分かち合っていくシーンからは、励まされた。
お互い何だか屈折してるんだけど!
 
 
ずっと、今のままでいたいと願っていたのに、弟の自殺をきっかけに、急に自分と向き合わなくてはいけなくなったウィリー。
その予兆にも気づけなかった悲しさ。
 
 
どうにかしないといけないという思いに駆られ、
それは、こんな生活クソくらえだ!という言葉に隠れた、焦りだったように見える。
 
 
でも、過去は変えられないし、どうしようもない。
どうしようもないんだから、焦ったり、追い詰めらなくていいんだよ、と思えたんだと思う。
 
 
そして、お気に入りの、自分で買ったスクーターに乗る様は、
1人で進むという、現実的な虚しさもあるけど、
でもこれからも生きていこう、と、力強く進んでいるように、私には見えた。
 
 
 

まだまだ期間中は、12本の長編映画と、11本の短編映画も無料配信されています!
また、2月2~4日にはアンスティチュ・フランセ東京にて、映画祭配信作品の上映も予定されていますよ。

 

【第8回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル】
開催期間 :2018年1月19日(金)~2月19日(月)
料金   :長編映画-有料(各配信サイトの規定により異なる)、短編映画(60分以下)-無料
配信サイト:青山シアター、アップリンク・クラウド、VIDEOMARKET、ビデックスJP、DIGITAL SCREEN
短編のみ :GYAO!、ぷれシネ
長編のみ :iTunes、Google Play、Microsoft Store、Amazon Instant Video、Pantaflix
※配信サイトにより配信作品や配信期間が異ります。

公式サイト www.myfrenchfilmfestival.com

アンスティチュ・フランセ東京
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema18020204/

 

indieTokyoのメンバーによるレビューブログも続々と続きますよ!お楽しみに!

 

住本尚子 イベント部門担当。 広島出身、多摩美術大学版画科卒業、映画館スタッフとして勤務、映画と美術の懐の深さで生きています。映像制作、イラスト制作、もがき生み出し、育て中