“息苦しさ”
…映画の中で女性が口々に語るその息苦しさの正体とは一体なんであろうか。
男尊女卑
性的搾取
男らしさ
女らしさ
#metoo運動をはじめとして世界的に女性への注目が高まりその流れが日本でも起こっている。上記に挙げた言葉は、フェミニズムに関するドキュメンタリー映画を撮った監督の池田が冒頭で語る言葉だ。続けてその池田自身も閉塞感を感じていると語る。
シスターフッドは、今を生きる2人の女性を追ったドキュメンタリーとフィクションの物語を併せた映画である。
単なるドキュメンタリー映画ではなくフィクションと現実が不思議とシンクロする形で観る人を飽きさせない。
また登場人物たちの台詞もどこか日常やメディアで聞き覚えのある言葉ばかりで、私たちの生きる現実とも重なっている様に感じた。
 
日本の息苦しさ、生きづらさ。
女性問題以外にも引きこもりや若者の自殺など多くの問題が日本にあり、それは結果として多くの人が生きづらさを感じているということの証拠であろう。
それを語る映画の中のキャラクターたちとモノクロの映像が、さらにその虚無感や閉塞感を加速させる。
 
しかしモノクロの中で、兎丸愛美とBOMIの存在はそこに一筋の光を灯してくれているようだ。
なぜなら彼らは彼ら自身の口から思いを語り、歌い、表現している。息苦しさを超えて生きている様に見えるからだ。
 
もちろん彼らは日本の社会の中で生きているけれども、2人は兎丸愛美として、BOMIとして彼らなりの考えを持ち生きている。その姿にグッと心を摑まれた。
 
様々な不平等や足枷が世の中にはある。
しかし自分が何を持ち何を理想として生きていくのか。
それを決めるのは他でもない自分自身なのだ。
 
生きづらさはある、でもその先を見なければいけない。
そう思わせてくれた映画だった。
 
 
 
 
3月1日(金)アップリンク渋谷にて公開ほか全国順次公開
 

『シスターフッド』

出演:
兎丸愛美 BOMI 遠藤新菜 秋月三佳 戸塚純貴 栗林藍希 SUMIRE 岩瀬亮

監督・脚本・編集:西原孝至  
製作・配給:sky-key factory
公式サイト:https://sisterhood.tokyo
予告編
https://youtu.be/yMa1xYi7vD0

■あらすじ

 東京で暮らす私たち。
 ドキュメンタリー映画監督の池田(岩瀬亮)は、フェミニズムに関するドキュメンタリーの公開に向け、取材を受ける日々を送っている。池田はある日、パートナーのユカ(秋月三佳)に、体調の悪い母親の介護をするため、彼女が暮らすカナダに移住すると告げられる。
 ヌードモデルの兎丸(兎丸愛美)は、淳太(戸塚純貴)との関係について悩んでいる友人の大学生・美帆(遠藤新菜)に誘われて、池田の資料映像用のインタビュー取材に応じ、自らの家庭環境やヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。
 独立レーベルで活動を続けている歌手のBOMI(BOMI)がインタビューで語る、“幸せとは”に触発される池田。
 それぞれの人間関係が交錯しながら、人生の大切な決断を下していく。

 

永山桃
早稲田大学4年生休学中。ロンドンにいます。最近絵を描くのが楽しいです。映画に一生関わって生きていきたいです。『シスターフッド』では、個人的にはBOMIさんがものすごく格好よくて彼女の言葉に感動しました。あとは、猫が好きなのに、柴犬をかっています。ワンワン!