鎌倉市川喜多映画記念館で毎年3月に行われる3日間の特集上映<日本映画の新しいカタチ>。
毎年、新進気鋭の若き映像作家の作品を紹介しているこの特集、今年は3月22日・23日・24日に開催され、『僕の帰る場所』、『小さな声で囁いて』、『みつこと宇宙こぶ』、『感光以前』の4つの作品が上映される。それに合わせて各日、藤元明緒、山本英、竹内里紗の3監督によるゲストトークも行われる予定だ。

今回のテーマは《リトル・ヴォイス》だ。私たちが日常の中で経験する戸惑いやわだかまり、はっきりと声にはならないシグナル。境遇も年齢も異なる人々がそれぞれの世界で迎える大きな変化、その一つ一つの小さな兆しに寄り添う、そんな映画が上映される。

 

上映される4作品を紹介する。

 

『小さな声で囁いて』 2018年/DCP/110分
付き合って5年が経ち、結婚を考え始めた遼に対し、乗り気じゃない沙良。互いの溝を埋めようとした3泊4 日の旅行でも心はすれ違うばかり。 漠然とした将来への不安から未来像 を描けないふたり。そんな男女の憂鬱と〈熱海〉というロケーションが見事に響き合う。

監督・脚本:山本 英
脚本:山崎陽平
撮影:李 子瑶
出演:大場みなみ、飯田芳、山崎陽平、中野目理恵、小倉一郎、レイ・アルフォンソ正田、熱海釜山レイ

監督・山本 英
1991年、広島生まれ。東京造形大学で映画を学ぶ。大学卒業後、映像制作会社で働く傍ら広島に住む祖父を撮影した『回転(サイクリング)』がぴあフィルムフェスティバルに入選し、香港で上映される。その後、東京藝術大学大学院映像研究科に進学し、映画監督の諏訪敦彦、黒沢清に師事。
自身初となる長編映画である『小さな声で囁いて』においては、フランス日刊紙のリベラシオンがその手腕を「山本は穏やかな眼差しで修復困難な“愛の物語”を熱海の街に映し出す」と賛辞を贈るなど、山本の才能は国内のみならず、海外でも高い評価を受ける。これまで制作した短編映画の数々も、国内の映画祭での受賞を皮切りに、香港、中国、フランスなど世界各地の映画祭でも上映されている。

▼予告編

第29回マルセイユ国際映画祭 初長編部門 正式出品
第40回ぴあフィルムフェスティバル 正式出品

 

『僕の帰る場所』 2017年/DCP/98分/日本・ミャンマー合作
幼い兄弟を抱えた母親は、入国管理局に身柄を拘束された夫に代わり、必死に働きながら東京で暮らしていた。在日ミャンマー人家族が直面する困難や〈故郷/異郷〉に対する家族それぞれの想いをつぶさに見つめ、私たちの社会の中にある身近な現実として彼らの姿をとらえている。

監督・脚本・編集:藤元明緒
撮影:岸建太朗
出演:カウン・ミャッ・トゥ、ケイン・ミャッ・トゥ、アイセ、テッ・ミャッ・ナイン、來河侑希、黒宮ニイナ、津田寛治

監督・藤元明緒
1988年大阪府生まれ。大学で心理学・家族社会学を学んだ後、ビジュアルアーツ専門学校大阪・放送映画学科に入学。卒業制作である短編映画『サイケファミリア』が、ドバイ国際映画祭、なら国際映画祭などで上映。長編初監督作品となる『僕の帰る場所』を、日本とミャンマーを舞台に5年の月日をかけ完成させる。現在、制作拠点をミャンマー・ヤンゴンに移し、日本ミャンマー合作映画制作のマネージメントやテレビドキュメンタリー制作のディレクターに携わる等、国際的に活動している。

▼予告編

第30回東京国際映画祭 国際交流基金アジアセンター特別賞
第11回オランダ・シネマジア映画祭 コンペティション部門最優秀俳優賞
第30回東京国際映画祭 「アジアの未来」部門作品賞

 

『感光以前』 2015年/Blu-ray(16mm撮影)/ 15分
映画学校が取り壊される前日の夜。元生徒の武田と相川は、道具を取りに学校へと忍び込む。誰もいない校舎と建てられたままのセット。そこはかつての面影を残したまま、時間が停止しているかのようだった。

監督:竹内里紗
脚本:峰尾賢人
撮影:松島翔平
出演:大村沙亜子、金井浩人、堀春菜、小川ゲン

監督・竹内里紗
1991年生まれ、神奈川県出身。立教大学で映画を学び、処女長編『みちていく』(2014)が第15回TAMA NEW WAVE グランプリ・主演女優賞を受賞、劇場公開を果たす。その後、東京藝術大学大学院映像研究科に進学。修了制作『みつこと宇宙こぶ』(2017)が第11回田辺・弁慶映画祭女優賞を受賞。その他監督作品に『渦』(2017)、共同脚本として参加した『SYNCHRONIZER』(2015/万田邦敏監督)などがある。

 

『みつこと宇宙こぶ』 2017年/DCP/40分
中学生の町田光子は最近〈こぶ〉のことが気になって仕方がない。〈こぶ〉の中身がわかれば他のこともわかるような気がする彼女は、通学路や入浴中、眠れない夜など、〈こぶ〉について想像をふくらませていく。

監督・脚本:竹内里紗
脚本協力:峰尾賢人
撮影:松島 翔平
出演:小松未来、金田悠希、島野颯太、宮野叶愛、篠崎夕夏、根矢涼香、坂井昌三、永山由里恵

▼予告編

第11回田辺・弁慶映画祭 女優賞

 

 

特集 <日本映画の新しいカタチ>
開催:鎌倉市川喜多映画記念館 3月22日(金)、23日(土),24日(日)
チケット発売日:3月1日(金)から
料金:1,000円 (小・中学生500円)

主催:川喜多・ K B S グループ(鎌倉市川喜多映画記念館指定管理者)

チケットお取扱店:
記念館窓口 0467-23-2500
たらば書房 0467-22-2492
島森書店(鎌倉店) 0467-22-0266
上州屋(大船駅前) 0467-43-1000

上映予定・時間帯の詳細は下記のサイトをご覧ください。
http://www.kamakura-kawakita.org

 

 

 

小野花菜 早稲田大学一年生。現在文学部に在籍しています。趣味は映画と海外ドラマ、知らない街を歩くこと。