こんにちは。

 

前回の続きリュミエール映画祭ボランティア体験譚、涙、涙?のラストまで!

 

 

JOUR 4 大型会場でのイベント上映

ミッション:会場整備・準備

会場:大コンサートホール(Halle Tony Garnier)

何千人規模で収容できるハコなんて、人の嵐です。もちろんボランティアを大勢配置し、混乱防止に努めます。この日私は会場準備だけの業務でしたので、勤務終了後そのまま観客として参加。

 

今夜は、映画祭の目玉企画『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のオールナイト上映。19時~翌朝8時まで、約13時間にも及ぶ超ロング上映。「寝てもよし、仮装よし、食べても飲んでもよし、ワイワイしてもよし。」という何たる自由で素晴らしきイベント!無法地帯になると思いきや… 

そこはさすが映画ファン。迷惑行為をする人は誰一人としていません。笑いあり、涙あり、雄叫びあり。満席の5千人で一つの大スクリーンを共有するという素晴らしい映画体験でした。

 

反響が良すぎて直前に2日間連続上映が決まった本イベント。翌日の上映も満席御礼だったとか!2日間で1万人が参加したという結果。凄すぎ…!

スクリーン裏にはなんと寝床が。100人分ほどのマットレスと枕・毛布が用意されていました。明け方3.4時にもかかわらず寝床監視係のボランティアさんが数人。管理体制の徹底ぶりに改めて感心。安心して2時間ほどぐっくり寝れましたとさ。また終了後には、朝食配布担当のボランティアさんまで!お疲れ様です…

 

 

JOUR 5 あのレジェンドを拝む

ミッション:会場案内・整理

会場:劇場(L’Amphithéâtre)

本日は映画祭の大目玉、リュミエール賞授賞式です。ゲストとして著名人が参加するため、フランス中のマスコミも殺到。会場の熱気も半端じゃありません。席の取り合いも白熱するので、ボランティアは混乱防止に努めます。

今年のリュミエール賞に輝いたジェーン・フォンダを始め、ラシッド・ブシャール、タハール・ラヒム、ロッシ・デ・パルマ、ランベール・ウィルソン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ドミニク・ブラン、スザンヌ・クレマン、アナイス・ドゥムースティエ、ベアトリス・ダル、そして…クラウディア・カルディナーレ!全くのサプライズだった大御所の登場に、会場の興奮は最高潮に達しました。私もあ然。つい数日前にたまたま『鞄を持った女』を観ていた私は、約60年の月日を経たカルディナーレ女史の変わらぬ美貌と可憐っぷりにただただ茫然。

感無量とはこういうことを言うのか…。興奮と感動で、ひとり大泣きです。

フレモ―氏の“こなれた“進行のもと、ルネ・クレマン監督作『危険がいっぱい』で当時助監督を務めていたコスタ=ガヴラス監督より、リュミエール賞を授与されたジェーン・フォンダ。流暢なフランス語で感謝の意を述べ、好きな曲というエディット・ピアフの『水に流して(Non, je ne regrette rien)』をアカペラで熱唱するというお茶目な姿で会場を沸かせていました。

 

ジェーン・フォンダとクラウディア・カルディナーレは共に御年80歳。隣に座る二人がお互いを称えあう姿を見ると、なんだか感慨深いですね。アメリカとイタリアの生ける伝説を、しっかりこの目に焼き付けてきました

 

興奮冷めやらぬ受賞式の後、ジェーン・フォンダ出演作品『チャイナ・シンドローム』の上映あり。こんな大きな円形劇場でスクリーンを“見下ろす”という不思議な映画体験でした。

 

 

あとがき

最終日、日も暮れた頃、映画祭本部にて。フレモー氏を囲み、アンスティチュ・リュミエールの方たちとボランティアスタッフ共同の打ち上げが行われました。ワインやビール、アペロでお疲れ様会です。共に働いた仲間と再会したり、新たなシネフィル仲間に出会えたり。

さらにこの後、22時スタートの二次会では場所を変え、なんと船上でパーティーが開かれるとのこと!いや〜、さすがパーティー好きのフランス人!その日疲労困憊だった私は遠慮しました…

 

ちなみに、ボランティアには下記のような特典がありました。映画ファンにはたまらない!

・映画祭上映作品引換券×6

・カタログ(15€相当)

・ポスター(10€相当)

・制服(シャツ)支給

・4h以上勤務はレストラン・チケット付与

・勤務中、時間があれば上映作品鑑賞可能

・アンスティチュ・リュミエール11月上映プログラムへの招待

 

 

また、いくつかの禁止事項もありました。

・制服姿でのセルフィ禁止。

・勤務中は基本的に写真撮影禁止。

・上映中は要着席、立ち見は禁止。

・暗闇での座席案内の際、電子ライトは使用不可。(アンスティチュ・リュミエールの方針)

・スターに対して節度ある対応を。(どんなにファンでも騒がないように…)

 

 

最後に。

ティエリ―・フレモー氏とリヨン市民は、もうすっかり家族のよう。いわゆる新参者の私は、彼らのあまりに息の合ったやり取りにちょっと嫉妬したり。

カンヌ映画祭総代表という名誉ある任務を背負った今でも、故郷リヨン・リュミエール映画祭にかける熱意と意気込みは変わっていないようです。

 

今回10年目という節目の年を迎えた当映画祭。関係者や一般人の境なく、マーケットでもなく賞争いもない、“純粋な映画愛”に溢れた唯一の映画祭だと思っています。今後もずっと見守っていきます。

ありがとう、リュミエール映画祭!

ありがとう、リュミエール兄弟!

ありがとう、フレモ―氏!

田中めぐみ

World News担当。在学中は演劇に没頭、その後フランスへ。TOHOシネマズで働くも、客室乗務員に転身。雲の上でも接客中も、頭の中は映画のこと。現在は字幕翻訳家を目指し勉強中。永遠のミューズはイザベル・アジャー二。