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『鳥類学者』(2016)で今年の東京国際映画祭を大いに沸かせた、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス&ジョアン・ルイ・ゲーラ・ダ・マタのコンビ。

そんなジョアン・ルイが美術を担当した中編『グッドナイト・シンデレラ』(2013/カルロス・コンセイサオ監督)が、11/19(土)に第26回映画祭TAMA CINEMA FORUMにて日本初上映されます。

11/19「ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭セレクション -Vol.1-」

ブリィヴ映画祭は、世界的に珍しい「中編」を対象にした映画祭で、ヨーロッパの映画関係者の間では、いま最も新しい才能に出会える映画祭として注目が高まっています。世界三大映画祭やより先鋭的な作品をセレクトするロカルノ映画祭では観ることの出来ないヴァラエティ豊かな作品が集まっています(参考記事)。

「ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭セレクション(共催:広島国際映画祭)」では、過去のブリィヴ映画祭の作品から厳選した6作品を二日間に分けて上映するプログラムです。

11/20(日)のプログラムでは、濱口竜介監督の最新中編『天国はまだ遠い』も東京初上映。ブリィヴ映画祭ディレクターのエルザ・シャルビさんらを招いた日仏の若手映画作家についてのトークも行われます。

11/20「ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭セレクション -Vol.2-」

boanoitecinderela_03『グッドナイト・シンデレラ』は、童話「シンデレラ」をモチーフにした美しくも奇妙な作品です。シンデレラの片靴を手に入れた王子様がその両靴を揃えたいという欲望を抑えられず、森の奥へと靴の持ち主を探しに行くというストーリー。足フェチ、靴フェチの変態的な描写がエレガントに描かれています。その気品とキッチュが混ざった衣装劇の雰囲気は、オリヴェイラやモンテイロを彷彿とさせます。艶やかな世界観を構築するジョアン・ルイの美術に要注目です。

カルロス・コンセイサオ監督は、1979年生まれ。ペドロ・コスタやミゲル・ゴメスと同じリスボン演劇映画学校で映画演出を学びました。本作が4作目の短編作品で、現在2本の長編作品を製作中です。

本作の監督ノートによれば、ポルトガルの歴史や政治を反映した風刺目的のために、シンデレラの童話を使うというアイデアが浮かんだそうです。

政治風刺の意味が込められていたり、冒頭にはマルクスの一節が掲げられていたりするとはいえ、決して小難しいだけの線の細い作品にはなっていません。コンセプトを十分に溶け込ますことの出来るほどにお城や森の描写にはリッチさがあって、豊穣で味わい深い作品となっています。

11/19のプログラムでは、2011年にブリィヴ映画祭グランプリを受賞した『女っ気なし』(ギョーム・ブラック監督)に始まり、ジャパンプレミアの3作品『グッドナイト・シンデレラ』、『ルピーノ』(フランソワ・フェレラッチ監督&ローラ・ラマンダ監督)、『ギャング』(カミーユ・ポレ監督)を上映します。

日本初上映の3作品は、今回のためだけに字幕を作成しました!

いずれの作品も個性豊かでとても面白く、大変貴重な機会となりますので、ぜひお越し頂ければ幸いです。

【予告編】

【日時】

11/19(土)10:30-14:15

11/20(日)12:30-16:15

【会場】ベルブホール(京王・小田急永山駅より徒歩3分)

【チケット料金】※全席自由席

一般:前売1200 円(当日1400 円)/子ども(4歳~中学生):前売800 円(当日900 円)

詳細は、下記の映画祭HP よりご確認ください。

【映画祭WEB ページ】

映画祭公式サイト:http://www.tamaeiga.org/2016/program/

11/19(土)「ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭セレクション -Vol.1-」

http://www.tamaeiga.org/2016/program/C-1.php

11/20(日)「ブリィヴ・ヨーロッパ中編映画祭セレクション -Vol.2-」

http://www.tamaeiga.org/2016/program/C-2.php

佐藤友則

制作部担当。映画資料のアーカイブ業務に携わっています。大学時代より映画祭TAMA CINEMA FORUMのスタッフとして企画運営等をしています。映画の多様な魅力をより多くの人に届けたいです。