2019年11月23日より新宿K’s Cinema他全国順次公開中『歩けない僕らは』のレビューを公開します。

『歩けない僕らは』はリハビリテーション病院が舞台の映画だ。

病院で働く主人公の宮下遥と、突然脳卒中を患い、左半身が不随になった柘植との交流を中心に描く。37分間のなかに、生きる中で悩み、ぶつかり合う人間ドラマがぎゅっと凝縮されていると感じた。

歩けない僕ら…それは映画を観ればわかるように身体的なことだけではない。

歩けない、という言葉には、上手く生きられない、という意味が含まれているのではないか。映画の登場人物たちは、仕事、恋愛、そして生きることとは何か?ということに日々悩み葛藤している。人生楽しいことばかりではない。その姿は、同じように現代を生きている私達の姿とも重なる。

この映画を制作するにあたり、佐藤快磨監督や登山プロデューサーは、協力を得た栃木県最南端の野木町にある「リハビリテーション花の舎(いえ)病院」に何度も足を運んだという。幾度もの取材を通して作られた作品は、療法士の仕事内容から日々の葛藤までを繊細に描いている。

劇中の『私たちが一番に考えるのって患者さんの人生じゃん。』という遥の台詞が心に刺さる。

リハビリテーションの療法士の仕事は、常に患者さんの人生に向き合うことでもあるのだ。患者さんに一番近い場所で、彼らの心の機微を汲み取りながらリハビリを続ける。時には、柘植のように元に戻れるようになるかわからないこともある。そんな中、患者さんを一番に信じ、一緒に進んでいくこと。主人公の遥をはじめとする病院の療法士は、その難しさに日々悩みながらも、時に誰かの些細な言葉や出来事に支えられ、現実と患者さんに向き合い続けるのだ。

柘植のリハビリを支える遥。しかし同時に柘植との交流から何かを得て、前に進む。

2人の人生が奇跡のように交錯し、人生も動いていく。

映画は、そんな風に 人は人とともに、生きていることを改めて感じさせてくれた。

 

 

出演:宇野愛海 落合モトキ

板橋駿谷 堀春菜 細川岳 門田宗大

山中聡 佐々木すみ江

監督・脚本・編集:佐藤快磨

プロデューサー:登山里紗 撮影:加藤大志 撮影助手:勝亦祐嗣 照明:高橋拓

録音:吉方淳二 音楽:田中拓人

衣裳:馬場恭子 ヘアメイク:橋本申二 ヘアメイク助手:西田美香 助監督:葉名恒星

制作部:福島成人、原田親 スチール:西永智成

協力:医療法人社団友志会、十一合同会社、MotionGallery、独立映画鍋、ニューシネマワークショ

ップ、アクターズ・ヴィジョン、栃木県フィルムコミッション、栃木市

配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES

©映画『歩けない僕らは』 2018 /日本/カラー/ 37 分/ 16:9 / stereo

 

公式サイト:http://www.aruboku.net

Twitter:@uno_narumi_proj

予告編:https://www.youtube.com/watch?v=XMYY8cm-36E

11 月 23 日(土)より新宿 K’s cinema にて公開他全国順次。

12月21日(月)から横浜シネマリンにて公開決定。

また併設上映として佐藤快磨監督の『ガンバレとかうるせぇ』 も上映される。

■併映映画『ガンバレとかうるせぇ』 

PFF アワード 2014 映画ファン賞受賞 PFF アワード 2014 観客賞受賞 釜山国際映画祭 ニューカレンツ・コンペティション部門 正式出品作品 

<あらすじ> 試合に勝っても褒められず、負けて責められることもない、そんな存在。 山王高校サッカー部の 3 年生マネージャー・菜津(堀春菜)は、夏の大会に敗退し たタイミングでマネージャーは引退するのが通例のなか、冬の選手権まで残ること を宣言する。しかし、顧問(ミョンジュ)からも部員からも必要とされていないこ とに気づいてしまう。 一方、キャプテンの豪(細川岳)は、チームの要である健吾(布袋涼太)に夏での 引退を切り出され、チームメートからの信頼の薄さも浮き彫りになっていく。 刻々と近づく最後の大会を前に、菜津と豪は選択を迫られる。 

監督・脚本・編集:佐藤快磨 撮影:加藤大志/録音:内田達也/プロデューサー:渡邊翔太 出演:堀 春菜、細川 岳、布袋涼太、柳沼 侃、江國亮介、山城ショウゴ、石上真紀 子、ミョンジュ 配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES 2014/日本/カラー/70 分/16:9/stereo

 

永山桃早稲田大学4年生休学中。『歩けない僕らは』繊細でとても優しい映画だと感じました。辛いことに柔らかい光を当てるような。劇中では自分の人生を生きたいと話す遙の同僚、幸子にも共感をしました。しかし自分の人生を生きるとは何なのか?患者さんに向き合う遙はそうではないといえるのか?考えさせられました。あとは猫が好きなのに、柴犬をかっています。ワンワン!